「Web制作?Web開発?WEBデザイン?いまいち違いがわからない…」
「自分がやりたいのはどれだろう…」
就職活動、転職活動をする中でWeb業界を希望する人は年々増えてきています。
そんな中で「Web制作」や「Web開発」など似たような言葉が多くあることに気が付くと思います。冒頭のような悩みや疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
似たような言葉ですが、実際の役割や仕事内容はしっかりと異なります。
この記事では、Web制作とWeb開発の違いやそれぞれの仕事内容などについて詳しく解説していきます。自分が目指したいWebエンジニアの方向性がわかりますよ!ぜひ最後まで読んでくださいね。

この記事の監修者
三谷 将大
フリーランスエンジニア/WEBデザイナー/WEBマーケター
1997年 愛知出身。
業界5年以上。実務経験後に独立し、30社以上のホームページ制作やマーケティング支援を行っている。
Web制作とWeb開発の違いとは?
「Web制作は副業で稼ぎやすい」「Webアプリ開発業務は年収がいい」などさまざまな意見がネット上で飛び交っているため、自分に合ったWebエンジニアの選び方に迷ってしまいますよね。
結論から言いますと、
・Web制作はWebサイトやページの制作を行うこと
・Web開発とはアプリケーション開発を行うこと
という、それぞれの仕事の目的やスキルが異なります。
以下でもう少し詳しく解説していきます。
Web制作とはWebサイトを制作すること
Web制作とは、既存のプログラムやサイトのシステムに基づいて、Webサイトの見た目やレイアウトを制作することをメインにしています。Webサイトの見やすさや操作性など、ユーザーが快適に利用できるようにするのが役割です。
具体的な制作内容には
- 会社の公式ホームページや採用ページ
- 商品購入につながるランディングページ・広告ページ
- ブログや記事サイト
などが挙げられます。
このようにWEB制作のお仕事は、ホームページやブログの制作がメインです。
「WordPress」に関する知識が必要になります。
Web開発とはアプリケーションなどを開発すること
Web開発とは、Webサイト・Webアプリケーション・スマートフォンアプリ・ゲームなどの機能や動作の開発をメインとしています。
Webアプリには、
- LINE
- TikTok
- メルカリ
- Gmail
- X(旧Twitter)
ようなものが挙げられます。
情報をWeb上に単に表示するだけではなく、ユーザーがデータを入力した情報をサーバー側で処理をして返信を行うなどの複雑な対応の制作が求められます。Webサイト・Webアプリケーションのユーザーが見えている部分に限らず、見えない箇所を制作し、ユーザーが求めた機能や情報を正しく処理できるようにするのが役割です。
Web制作とWeb開発の違いまとめ
主な仕事内容・役割 | 主な言語 | |
---|---|---|
Web制作 | WordPressやJimdoなどの既存のプログラムやシステムを使用して、Webページを制作。ユーザーが求める見た目や操作性を叶えるのが主な役割。 | HTML、CSS、JavaScript等 |
Web開発 | 新しいシステムやアプリのプログラムを組むのが仕事。 ユーザーが求める機能や情報処理を叶えるのが主な役割。 | Java、Python、Ruby、PHP、SQL |
Web制作に関する職種と必要なスキル
Web制作に関する職種として、Webデザイナー、コーダー、Webディレクターなどがあります。それぞれについて以下で解説していきます。
Webデザイナー
「Webデザイナー」は、Webサイトの見た目やレイアウトの設計をすること(WEBデザイン)が一般的な役割です。
IllustratorやPhotoshopアプリを使用し、イラスト素材や写真素材などを加工・制作したり、
XD・figmaなどのツールを使用し、Webサイトのレイアウトを組んだりします。
コーダー(マークアップエンジニア)
「コーダー」は、Webデザイン案を実際のWeb上に表示するために、HTML、CSS、JavaScriptなどの言語を使って、Webページの元となるソースコードを作成します(コーディング)。
HTMLはマークアップ言語であることから「マークアップエンジニア」と呼ばれることもあります。
Web制作においてはホームページやブログの制作案件が多くあります。その大多数がWordPressというシステムを使用するため、WordPressに関する知識が必要にもなります。
Webディレクター
「Webディレクター」は、Webサイトの企画や制作、運用における責任者です。
進行や品質に問題ないかチェックし、プロジェクトが円滑に進むようにクライアント、デザイナー、コーダーの間に入り調整いたします。
Web制作で必要なスキル
上記のような職種があるWeb制作ですが、必要なスキルでまとめると以下のようになります。
- IllustratorやPhotoshop、figmaなどのツールが使える
- HTMLやCSSなど言語が使える
- WordPressを使った開発ができる
- WebマーケティングやSEOに関する知識がある
デザインやコーディングに直接関わるツールの使い方や言語の理解も必要ですが、加えてセキュリティやSEO対策、GoogleアナリティクスなどのWebマーケティングについての知識があるとより結果を出すことができます。
全て網羅する方が良いのはもちろんですが、中にはチームを組んでデザインだけを担当している方もいます。
自分に合う分野を極めるという選択も良いかもしれません。
フロントエンドエンジニアとマークアップエンジニアの違い
マークアップエンジニアと似た領域を差す言葉として、フロントエンドエンジニアという職種があります。
マークアップエンジニアは企業によってはフロントエンドエンジニアと同じ仕事を行っていることもありますが、異なる職種です。
マークアップエンジニアは上述のとおりHTMLやCSSを用いてコーディングを行っていきます。ただし、JavaScriptに関しては基本レベルでしか活用していないことが多いです。
フロントエンドエンジニアもHTMLとCSSを活用するため混合されがちですが、フロントエンドエンジニアはJavaScriptやJavaScriptのフレームワーク・ライブラリを活用し、時には0→1でプログラミングを行うなど、マークアップエンジニアよりも幅広く深いスキルを求められます。
コーダー、マークアップエンジニアの上位職のようなもの。と考えておいていいでしょう。
また、Web制作とWeb開発どちらにも関係する職種です。
Web開発に関する職種と必要なスキル
Web開発に関する主な職種はエンジニアです。開発する領域によってフロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニアなど分けられます。
バックエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアの違い
バックエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアは、役割の一部が重複しています。
ですが、厳密に言うとサーバーサイドエンジニアの方がカバーする領域が広い点で違いがあります。
つまり、サーバーサイドの一部がバックエンドであると考えられます。
バックエンドはフロントエンドからのデータを処理するのに対して、サーバーサイドはサーバー側でプログラムを実行・管理します。
企業によってはバックエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアは、同職として扱われることも多いです。
Web開発で必要なスキル
Web開発では以下のようなスキルが必要になります。
- サーバーやデータベースの深い理解
- プログラミングの知識
- フレームワークを使った開発スキル
- APIを用いた開発に慣れている
Web開発の仕事ではWebサイトやアプリとデータベースの連携や、データベース内の検索や変更・保存、バグの修正などがあります。主な言語としてはSQLがあり、サーバーやデータベースの深い理解とサーバー側でプログラムを実行・管理できるスキルが必要です。
そしてアプリケーション開発には、Java、Python、Ruby、PHPなどの言語を用います。必要な言語は開発するアプリやサービスによって異なりますが、複雑なものが多く、しっかりと理解する必要があります。
また、「フレームワーク」を扱うスキルがあるとより効率的に開発ができるようになります。
「フレームワーク」とはアプリケーションを開発するために必要な機能が備わっているテンプレートや土台のようなものです。代表的なフレームワークとしてはRubyの「Ruby on Rails」やJavaScriptの「Angular」、PHPの「CakePHP」などがあります。
Web制作とWeb開発それぞれの年収や将来性は?
年収について
年収面について結論から言うと、Web開発の方が高くなることが多いです。
- Web制作の平均年収は300万~500万円ほど
- Web開発の平均年収は450万円~550万円ほど
Web制作がWeb開発より年収が低い理由としては、副業やWeb制作ブームによりWeb制作者が増えたことや、参入障壁の低さからライバルが多いことが挙げられます。
給料を上げるには単にWebページを制作できるだけでなく、マーケティング領域にも詳しくなって数字を上げられたり、チームを作ってディレクションできる存在になる必要があるでしょう。
Web開発はスキル力によって年収が跳ね上がるため、より年収が高くなる方が多くいます。
反面、Web開発エンジニアとして高い年収を獲るには、短くても半年以上の学習期間が必要であったり、開発実務経験を積む必要があるため、難易度が高いと言われています。
将来性について
Web制作に関しては、近年、WIXやSTUDIOなど、ノーコードでもWebサイトが作れるサービスが登場しており、より製作者が増え、より競争が激しくなっています。ただし、ノーコードにより制作したWebサイトは既存のデザインテンプレートに当てはめるだけで、集客に効果的なWebサイトが作れなかったり、セキュリティやSEO対策が不十分になることもあります。そのため、制作のみならずマーケティング戦略やSEO戦略など付加価値を持つことができれば需要があるでしょう。
また、AIによる画像処理、コンテンツ生成、AR、VR。AIによる効率的なコーディングなど、最新の技術を活用できることも今後需要が高まると言われています。
Web開発に関しては、需要がますます高まると予想されます。
スマートフォンやタブレットを使って事業展開をおこないたい企業の需要は増加する中、これらのアプリを開発できるWeb開発の供給が現状追いついていないのです。
加えて新しい技術の登場や企業のWeb進出は留まることはなく、日々進んでいるため、高い技術を持ったWeb開発エンジニアはこれからも需要が高くなると考えられます。
Web制作かWeb開発どっちを選ぶべき
年収、将来性の観点から考えるのであればWeb開発でしょう。学習難易度は高く参入障壁が高い代わりにスキルを身につければ幅広いキャリアパスを考えられます。反対にWeb制作は参入障壁が低い代わりに稼ぐには少し工夫が必要です。
ですが、この記事で解説したとおりWeb開発とWeb制作では役割が違います。楽しさや、やりがいもそれぞれ異なります。どちらが良いかは、あなたの仕事観で重要とする点によるでしょう。
「Web制作はやめておけ」等をWebの記事などで目にすることもあると思いますが、それは年収の観点のみで言っているか、Web開発を勧める方が都合が良い方々でしょう。
Web制作とWeb開発の違いを様々な視点から考えて、自分にあった方を選ぶのが何より大切です。